ミナミのラボ

元役者の会社員ブログ 日々の気付き、疑問を独自の視点で記載しています。

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臨月での死産 僕は彼に何と言ってあげればよかったのだろう

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どうもこんにちは、ミナミです。

先日、とっても久しぶりに友人に会いました。

学生時代以来だから15年ぶり?

その15年ぶりにみる彼は・・・なんだか変な感じでした。

15年ぶりの再会

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本当にたまたま入った牛丼屋。仕事の最中に外回りをしていて入った牛丼屋。

向かいのカウンターに座っているサラリーマンがなんとなく見たことがある人。

というかめっちゃ知ってる。大学時代の同期の山田だ。

「山田?」

普通に声をかけた。

 

「おお、ミナミ!久しぶりだな!」

「お前何してんだよー」

「見りゃわかるだろ、メシ食ってんのw」

「奇遇だね、俺もそうなんだ」

 

学生時代にわりと仲が良かったんだけど、卒業してからは一切連絡を取ることが無かった山田。

そこにはちょっといいおっちゃんになった山田がいた。

 

「ミナミかわんねーな」

「そう?大分太ったけどw」

「え?あ、ホントだ。デブってやがる」

「山田はおっさんになったなw」

 

軽く言葉を交わし、よかったら仕事終わってから飲みに行こうと言ってみた。

すると山田はいいよとすぐにOKしてくれた。

 

仕事が終わってからどちらともなく連絡をして、とある居酒屋に入った。

居酒屋に入ってビールを注文して、この辺からなんとなく山田が変だなと思い始めた。

なんていうんだろう。何となく変なんだ。

 

40手前のおっさんたちが久しぶりに会って話すことといえば仕事の事、家族のこと。

 

山田は今、家具の卸売会社で働いているらしい。

 

ただ営業と言うわけではなく、内勤みたいだ。

しばらくは仕事の話をしてそれから自然と家族のことになった。

 

「山田、結婚は?」

「してるよ。9年目かな。」

「あーそうなんだ。奥さんどんな人なの?子供は?」

「写真あるよ。見る?」

 

別に特に何も考えず、一般的な話題として家族のことを話し始めたんだ。

友達には結婚してもすぐに離婚してバツイチのやつもいるし。

 

山田が出してきた写真はお腹の大きな奥さんがピースしている写真。

 

「おー、美人やん!」

「そうか?普通だろ?」

「え?これいつの写真?」

「1ヶ月前」

「え!?じゃあもう子供生まれてんじゃないの?」

「ああ、産まれたよ」

「おー!そうなんだ!おめでとう!かわいいだろ?」

「ああ。かわいいよな子供は。超可愛い。」

「…なぁ」

「なに?」

「なんで…お前泣いてんの?」

 

山田を見るといつの間にか目が真っ赤になって涙を浮かべていた。

 

山田が渡してきた写真。そこに映る奥さんはとても笑顔だった。

 

結婚8年目に授かったかけがえのない命

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山田と奥さんは結婚してからしばらく子供が授からなかったらしい。

それでも排卵日をちゃんとチェックしたり、きちんと妊活をして1年ほど前にようやく子供を授かったらしい。

 

待望の第一子は女の子。日に日に大きくなっていく奥さんのお腹を撫でながら、「俺も父親か、頑張んないとな。」って何度も思ったらしい。

 

奥さんもそんなに体が弱いわけじゃないから、妊娠してもそこまでちゃんと安静にしてたわけじゃなくて、でももちろん体に無理がかかるような事はしなくなったらしい。

 

子供の名前をどうしようかと2人で悩んで、自分や奥さんの親から赤ちゃん用品や女の子のおもちゃがプレゼントされて、家の中は赤ちゃんを迎える準備万端だった。

 

少しの違和感

お腹がどんどん大きくなり、定期検診も問題なし。あえていうならその2人の子供は少しおとなしい子だった。

出産予定日を10日後に控えた頃、じいちゃんからお尻拭きが箱でプレゼントされた。

「まだ1週間以上あるのにw」と苦笑しながら受け取った。

「おじいちゃんがお尻拭きくれたよー。よかったねぇ」と子供に話しかけても反応は無かった。

「ねんねしてるのかな?」とお腹の横を軽くポンと叩くと、本当に軽くポコっと蹴り返して来た。

「お、お返事できたねぇ」と言いつつつも、

 

(ちょっと元気ないかな。三日後の最終検診の時にお医者さんに相談してみようかな)

 

と 思っていた。

 

そして

 

それがその子が返事をしてくれた最後だった。

 

違和感

翌日、何を話しかけても反応しなくなった。

お腹の横をポンと叩いても返事をしてくれなくなった。

 

「今日は大人しいねぇ。でもいっぱい寝て元気に生まれてくるんだよー」

 

奥さんはお腹をなでながら話しかけ続けた。

その日の夜、奥さんは山田に相談をしてきた。

 

「今日話しかけても全然反応してくれなかったの。病院行ったほうがいいかな?」

「明後日最終検診だろ?」

「うん。」

「じゃあその時でいいんじゃない?」

「そっか、そうだよね。」

 

その次の日も反応は無かった。

 

どうしようもない後悔

最終検診日。山田は仕事だった。

安定期に入ってからは特に病院に一緒に行くことも無くなった。

その日も奥さんが一人で病院に行ったらしい。

 

ちょっと、山田の話は支離滅裂で、それでも話の断片をまとめると

 

仕事中に病院から電話があった。

会議で電話に出れず、会議が終わってから電話をかけ直した。

至急病院に来て欲しいと言われた。

子供か奥さんの身に何かあったのかと急いで駆けつけた。

診察室に入ると、ぼうっとしている奥さんと医者の先生がいた。

先生はこう言った。

 

「奥さんのお腹の中の赤ちゃんですが、誠に残念ながら心臓の鼓動が止まっています。」

 

全く意味がわからなかったらしい。

 

「はあ、そうですか。それで、何かあったんですか?」と言ってしまう程。

 

「赤ちゃんが亡くなっています。」と言われてしばらくしてから意味が理解できたと。

 

赤ちゃんが死んでいることを告げた後、お医者さんは

「どうして、どうして違和感を感じた時にすぐに病院に来られなかったのですか?」

と言った。

 

「えっと、すいません。。」としか言えなかったと。

 

奥さんが泣いていたと。

 

山田も泣いていたと。

 

それを聞いている俺も泣いていた。

 

「あの時、病院に行くように言ってれば・・・」

 

山田を襲っているのはどうしようもない後悔だった。

 

凄まじい選択

状況を理解するのに大分時間がかかったそうで、お医者さんの話を聞くことが出来るまでに1時間位はかかったらしい。

 

原因はへその緒がねじれていたとか。それで赤ちゃんに栄養が行かなかったとか。

 

「この子は、苦しんだんでしょうか」

奥さんの問にお医者さんは

「・・・恐らく、気を失うように意識が飛んだと思うので、苦しんではいないと思います。」と回答された。

 

「それでですね。」

 

お医者さんの話が続く。

 

「自然分娩されますか?」

 

臨月での死産

また意味がわからなかったが、奥さんを見た。

奥さんの大きくなったお腹。この中に赤ちゃんはいる。

その生命は亡くなってしまったけど、赤ちゃんの体はここにある。

 

そう、奥さんのお腹の中から出さないといけない。

 

奥さんはじっと考えているようだった。

 

「自然分娩ではなく帝王切開で取り出すことも可能です。ご希望の通りに出来ますが、一度帝王切開をすると、次回からの妊娠の際も帝王切開になりますことだけはご留意下さい。」

 

奥さんの気持ちを考えると涙が止まらなくなった。

 

10ヶ月もの間、共に過ごした小さな命。

自分たちの不注意で散らしてしまった命。

 

奥さんはどう答えるのだろうか。

すでに死体となってしまった赤ちゃん。

自然分娩には体力も必要だ。

これから生まれてくる赤ちゃんに会いたいと思う気持ちも必要だ。

愛しているよ。生まれてきてくれてありがとうと言いたいという気持ちも必要だ。

そういったさまざまな気持ちが女性を強くする。

耐え難い出産の痛みを耐えさせてくれる。

 

でも

 

でも妻は。

 

山田がそんな様々な葛藤を感じていた時、奥さんは言った。

 

「はい、自然分娩で産みます。」

 

奥さんは数時間かけて子供を出産した。

とてもとても辛い心の痛みに耐えながら。

とてもとても強い体の痛みに耐えながら。

山田は奥さんの出産に立ち会い、手を握っていた。

お互い泣きながら出産した。

 

僕は彼に何と言ってあげればよかったんだろう

その話を聞いて、涙が止まらなくて。

 

「ごめん。」

 

と言った。

というか、それしか言えなかった。

 

山田は

 

「ああ。いいよ。」

 

と言った。

 

「でも、もしお前の周りに妊娠している人がいたら、伝えて欲しい。」

「うん。」

「妊娠中、ちょっとでも違和感を感じたらすぐに病院に行け。」

「うん。」

「医者にバカにされてもいい。『こんなことで来たんですか?大丈夫ですよ』って笑われてもいい。違和感を感じたらすぐに病院に行け。」

「うん。」

 

そして山田と別れた。

 

僕は山田には何も言ってあげることが出来なかったけど、ブログという発言の場で広めたい。

 

妊娠中の方。

 

違和感を感じたらすぐに病院に行きましょう。

 

医者にバカにされても笑われてもいい。

 

すぐに病院に行きましょう。